バレトンインストラクター <満園えりさん>

一人目は、バレトンインストラクター・満園依李さん。
知り合いゼロの仙台で1から作ったつながりと、ご自身の子育てから見えてきたこれからの夢を伺いました。


一人一人の自転車の楽しみ方や背景にある暮らしを紹介するシリーズ
…go your own way
自転車には乗るひとの分だけ楽しみ方があります。ふだん気にしていなかった事、何気なく避けてきた事が、誰かの暮らしの大切な部分にきっと繋がっています。同じまちで住み・働くライフスタイルを知ることで、自転車の新しい一面が見えてくるはず。



頼る人がいない辛さから 育児ノイローゼへ

マスクをしていても分かる気さくな笑顔が魅力の満園さんは、青森県のご出身。

お酒を飲むと青森弁がついつい出てしまうそうですが、幼少期から神奈川県で育ち、ご結婚。今から10年前の東日本大震災の揺れは、一人目のお子さんがお腹にいながら神奈川で体験します。

満園さんが二人目のお子さんを妊娠中に、ご主人は仙台へ単身赴任に。一人目の出産も経験した後で気丈に振る舞っていましたが、心中は真逆でした。


「一人生んでいるから大丈夫~なんて言っていたんですが、産後3ヶ月くらいで糸が切れちゃったんです。主人には、泣きながら電話で仙台へ引っ越すことを伝えました。」


30年間過ごした神奈川。友人たちが沢山いる慣れ親しんだ土地を離れ、初めて訪れた仙台に、友人はおろか、知人すらゼロ。


「私自身を知ってもらい、会ってみようと思ってもらえるようにと取得したのが、バレトンインストラクターの資格でした。」



育児のもやもやを払拭してくれた バレトンのパワー

バレトンとは、バレエの動きを使ったエクササイズ。元々バレエをしていた満園さんは、その魅力にはまっていきます。

「育児ノイローゼになっている時、バレトンで汗をかいたらすっきりしてこれはいいぞ!とハマってしまって。妊娠で増えた体重も、続けていたらするすると落ちたし、続けることで体中の筋力もアップするので、健康診断では肺年齢が18歳!まさに良いことづくしなんです。」


バレエは芸術表現。観る人を意識し完成された動きを求められるのに対し、バレトンは完璧さではなく動きのプロセスを楽しむもの、という満園さん。


「バレトンでは、頑張る動きは一つだけとしています。部屋は散らかっているし、子どもには怒鳴ってしまった……。そんな後悔ばかりの日常が、バレトンを通して楽になっていきました。」



お客さんゼロからキャンセル待ちへ バレトンが拡げたつながり

「最初の4ヶ月は、満園さんって誰?そもそもバレトンって何?って反応でした。知っている人の知っている内容のプログラムだったら参加しやすいかもしれませんが、私の場合はどちらでもない。
最初はお客さんがゼロで、会場を借りても一人で練習しているだけの日々でした。きっかけは、バレトンインストラクターの先生とコラボしたこと。そこから初めてバレトンに触れる方も多く参加して頂けるようになり、クラスがキャンセル待ちになる程軌道に乗っていきました。」


その中で満園さんは、「子どもと一緒に参加できるクラス」にこだわります。


「お子さんいると、習い事に行きたくてもどこに預けたらいいんだろう?預けてまでやるのはどうなんだろう?という思いや、子連れで参加して他の方に迷惑かけてしまうのではないか、といった不安があると思います。
クラス中に託児のスタッフを置くことで、お母さんがバレトンに集中しても安心という理想を実現しました。託児のスタッフは、ママ同士のつながりから、保育士や幼稚園の先生をしていた方がいることがわかり、手伝ってもらえることになりました。」


知り合いゼロからの挑戦は大きな繋がりに。満園さんは、さらなるつながりを拡げていきます。



ママの活動を応援する場づくり mamaBEstyle!

2018年、子育て中のママ目線の地域情報誌フリーペーパー「mamaBEstyle!」を立ち上げた満園さん。バレトンのクラスが起動に乗って3年目のことでした。


「バレトンクラスを3年間続けるうちに、運動したいママだけが支援を必要としているわけでなはない、と感じていました。ものづくりをしたいのに、小さい子どもがいてできない、勉強をしたいのに子どもがいるから難しい、など、色々なシチュエーションで『子どもがいるからできない』と思っているママのために、見守り託児付き講座を定期的に実施することにしました。
例えば、夕飯のレシピを習得できるお料理教室、アロマの香りに癒されながらアロマを使った雑貨づくりなど、その内容は様々です。
それらの告知をするために思いついたのが『mamaBEstyle!』。ママは情報を求めているし、地域の情報が集約されているものなら手にとってもらえると思い、フリーペーパーの形にしました。」


満園さん自身、編集やライティングは初めて。それでも、文章の構成や印刷天順などに詳しいママにここでも支えられ、今やmamaBEstyle!は、9号まで続いています。

元々、アパレルの販売・営業のキャリアがある満園さん。


「クレーム対応や売り上げ管理など、マネージャーとしての仕事をしていました。天気や気温でお客さんの流れが変わるので、それに合わせて店頭のディスプレイを変えたり、売り上げを分析して、次の仕入れに反映したり……。お客さんの行動を先読みし、どういうことを求めているのかを常に考えていました。
mamaBEstyle!も、こういうのがあったらいいなっていうのは漠然と思っていたので、誰かが作ってくれるのを待っているより、自分で作った方が早いな、という感じでした。」

パワフルに仙台での活躍の場を確立している満園さんは、2019年に「ビューティージャパン東北」にご自身でエントリーされ、社会で活躍する女性像をみごとに体現されています。


「ビューティージャパンの、社会に貢献する女性を発掘するコンテストというコンセプトにとても共感したんです。
私たちの世代は、女性が社会進出をしていこうという風潮の先駆けの世代。家庭に入るまでは最前線で仕事をしていた人が多いのですが、結婚や出産を機に、それがいきなりできなくなって悶々としている現実がある。
本来女性は色々な状況に柔軟に対応できる力を持っているので、もっと生かされる社会になっていくと良いなという思いがあります。」



地域と子育てがリアルにつながるコミュニティづくり

自身の育児ノイローゼの経験や、転勤してきた身として感じていることを踏まえ、次なる夢を描いている満園さん。


「泉中央界隈は、転勤してきている方が多く住んでいるエリア。近所に住んでいる人が誰かわからないのは、防災の観点でも怖いことだと感じています。
私自身、育児ノイローゼの経験があるから、あの時近所に『大丈夫?』って声をかけてくれる人がいたら、もう少し楽だったかもしれない、と思うんです。
コロナ禍ということもあり、東京に住んでいる実の親にはなかなか会いに行けないのですが、お隣に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんは、お互い顔見知りであれば、何かあった時に助けられる。
地域に貢献するのが好きなので、そういう関係性を築いて、こどもたちもより生かされ、安心できる地域づくりができたらと考えています。」

せんだいファンライド

ウィズ自転車で、仙台の新しい杜の都の暮らし、一人一人に合ったGreenestなライフスタイルを見つける取組み

0コメント

  • 1000 / 1000